地域課題は地域住民で解決!「有限会社芦生の里」が届ける絶品ごはんのおとも

南丹市美山町を東西に流れ、夏には鮎の名所としても有名な清流、由良川。
由良川源流には「芦生(あしう)の森」と呼ばれる手つかずの天然林が広がり、美山の豊かな水流を支えています。

芦生の森のお膝元にある有限会社芦生の里では、清らかな水と美味しい空気を活かして、佃煮やお漬物等、さまざまな商品が製造されています。
道の駅美山ふれあい広場やお土産処、美山ごちそうの森(オンラインショップ)などで販売され、贈答用や自分へのお土産としても人気です。

今回は芦生の里が生み出す商品のひみつに迫るべく、代表取締役である牧田 克己さんにお話を伺いました。

芦生地区は自然豊かな美山町の中でも特に山深い地域。
地域の約99%が森林というこの芦生の地で、食品の加工が始まったのにはいったいどのような理由があるのでしょうか?

かつて炭や薪として用いられる木材の需要は非常に高く、芦生でも多くの住民が林業を生業にされていたといいます。
しかし戦後、需要の低下とともに林業は衰退。

「そんな時、林業に置き換わる産業として芦生の人たちが“なめこ栽培”を始めたことが、有限会社芦生の里創業のきっかけなんです。」と牧田さん。

地域に暮らす人々が一丸となってアイデアを出し合い、地域の課題をビジネスによって解決する『コミュニティビジネス』。
現在は日本各地で行われていますが、芦生地区ではそんな取り組みがおよそ60年も前からあったとは驚きです。
その後、栽培されたなめこや山菜を使った商品の加工や販売がはじまったといいます。

現在、芦生の里で働くメンバーはなんと皆さんが芦生在住。 地域に暮らす人々によって、美味しい「ふるさとの味」が今日まで受け継がれてきました。

芦生の里の商品は、芦生漬やちりめんさんしょう、万願寺唐辛子の甘辛煮、ふきしぐれなど、実にバリエーション豊か。
美味しいごはんのおともを生み出すためには、やはり「芦生の水」が欠かせないといいます。

工場を見せていただくと、そこには澄み切った水が入った水槽がたくさん!

「この水槽に由良川の源流にあたる芦生の水を貯めて、野菜を洗ったり、塩漬けした食材の塩抜きをしたり、食材を煮るのに使っています。うちの特徴はやっぱりこの水と、自然の空気に恵まれていることですね。」と牧田さん。

芦生の水で下処理された野菜は手作業で加工されます。
“食品加工の工場”と言えば、機械やロボットが作業し、大量生産されているイメージがありますが、芦生の里では山盛りの万願寺とうがらしを1つ1つカットしたり、完成した商品の重さを手作業で計りながら袋詰めしたりと、とても丁寧に作業が進められます。

たくさんの商品がある中、おすすめを聞いてみると「『若しば漬』です!」と牧田さん。
「若しば漬のこだわりは原料となるきゅうり。地元農家が栽培した美山産にこだわっています。年間、12トンものきゅうりを生の状態で仕入れるんですよ。若しば漬はそのままごはんのおともとして食べても美味しいし、うちの若しば漬を使ってくれているお店の中には、トンカツと一緒に出しているところもあって、この食べ方も美味しいんです!」と笑顔で語ります。

創業から60年にわたり、芦生の地で、芦生に暮らす地元住民によって受け継がれてきたこだわりの佃煮やお漬物。美山の美味しいお米と共に味わってみたい一品です。